とちぎ福祉サービス第三者評価推進機構

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福祉サービス第三者評価結果


■第三者評価機関名
特定非営利活動法人 アスク
■施設・事業所情報
名称 塩原認定こども園 種別 保育所
代表者氏名 津久井 由美 定員(利用人数) 30人(24)
所在地 〒329-2921
那須塩原市塩原652-1
TEL 0287-32-2360
■第三者評価の受審状況
評価実施期間 令和5年6月5日(契約日)~ 令和5年11月21日(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 4回 (2018年度)
■総評
◇特に評価の高い点
○ 小規模園の特色を生かし、一人ひとりの子どもの意思を尊重した教育・保育
 小規模園の良さを生かし、園全体で一人ひとりの子どもの発達状況や家庭環境、保護者の思いを把握し、育てたい姿や支援について共通理解を図りながら教育・保育を行っている。保育教諭は子どもが「気づく・考える・やってみる」ことを指導の重点目標にし、その中で感じる「悔しい・嬉しい・達成感」等の思いを大切にして、押しつけにならない「きっかけつくり」や援助方法について常に考え取り組んでいる。保護者アンケートに「どの保育教諭も一人ひとりの子どもを丁寧に見てくれている」という回答が多くあることからも、子どもを尊重した教育・保育が行われていることが窺える。

○ 教育・保育の質の向上に向けた組織的に行われる研修
 法人の事業計画で職員研修の方向性が示され、非常勤職員も常勤職員と同等に研修の機会が与えられている。また、「キャリアパス制度」により、職名ごとに必要な研修が明示され、受講することが義務付けられている。園内研修はテーマに沿って、日程・時間を含めた年間計画を作成し実施している。令和4年度は「主体性と共同性、想像力を育む」、令和5年度は「描画活動から自己肯定感を育む」をテーマとし、各年齢の活動から事例を出し合い研修をし、実践の評価・見直しを行い教育・保育に活かしている。職員自らが受講を希望する教育・保育関連の外部研修に関しても、事例は多くないが、ローテーションに支障がない限り要望があれば自己研鑽の一環としても受講を推奨している。職員への聴き取りや職員アンケートの回答から、子どもを尊重した教育・保育の重要性および身体拘束や虐待の防止に関する勉強会・研修などに、常に取り組んでいることが窺える。

○ 保護者や地域との良好な関係
塩原認定こども園は、前身の塩原保育園の時代から地域との関係を重視し、子どもをはじめ保護者や職員が地域との関係を築く取り組みを実施している。前園長である現理事長は、地元の出身で長く保育園およびこども園の運営に携わってきており、地元の事情に精通して地域との良好な関係を築いている。公民館だよりには園のイベントや行事などの情報が掲載され広く広報されていて、園児は地域や学校の行事に参加する機会が多い。
近年、裏山から猿や鹿が園庭に入り込むようになり、見かねた保護者が地域の人と協力して、園児の安全と衛生状況の確保のために電気柵を園の周りに巡らしてくれた。また、熊も出没するようになり、近隣住民がいち早く園に情報を寄せてくれて、園児の安全確保のため協力してくれている。
小規模園のため、保育教諭はすべての園児と保護者の顔を覚えており、担任クラスの園児の保護者でなくても声をかけてコミュニケーションを取っていて、保護者からも気軽に話や相談ができると好評である。卒園児の保護者も含め、地域に見守られ協力の得られるこども園である。
◇改善を求められる点
○ 中・長期のビジョンや方向性の明示
 中・長期の計画策定は、前回の第三者評価から継続的な課題となっている。園は山間部に位置する温泉街の一角にあり、少子化の影響が顕著で、園児の減少という切実な課題を抱えている。
利用定員減や休日保育の移管など諸策を講じてはいるものの、中・長期にわたる確固たるビジョンや方向性は示されていない。法人としても、こども園の中・長期計画の策定は、法人を挙げての重要課題として捉えている。園としても法人に全てを任せるだけでなく、継続的に話し合う機会を持ち、地域状況を最も把握している現場として、ビジョンづくりに寄与してほしい。
他方、「人口減少地域等における保育所の在り方」に関して厚労省をはじめ全国保育協議会、全国社会福祉協議会などで調査・研究の報告が相次いでいる。園の方向性にとって有益な情報があれば手掛かりの一助として活用することも可能である。社会資源として地域に存在する唯一の教育・保育施設であり、地域住民が困ることがないように市の担当課との連携にも期待したい。  

○ 獣害や災害発生時の環境危険度の再評価
園は塩原温泉の四季の恵みにあふれ自然豊かな環境に立地している。園の子どもたちは園外保育や散歩、近隣の農家から差し入れられる野菜を調理した給食を食べることで、自然の恵みを享受している。一方で、山からは猿や鹿、時には熊も出没することが懸念されており、電気柵設置や迅速な情報提供を受ける等、保護者や地域住民からの協力を得られているものの、園としても、十分な安全対策を立てることが求められている。さらに、隣接地には土砂災害警戒区域が設定されており、園の敷地は区域外ということではあるが、急峻な裏山が地震や豪雨の際に崩れる恐れがないのかどうかを確認して、安全性の見直しを行うことが必要と思われる。
評価期間中に地震や各種災害に対応するための「BCP(事業継続計画)」を策定したところである。今後はこの計画に基づいた継続的な職員研修や訓練の実施が期待される。
■第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 第三者評価は継続して受審しており、情報公開を含めてその積み重ねが教育・保育の質の向上に繋がっていると実感しています。今回、園児数減少が課題となっているため関係機関とさらに連携をとり、これからの方向性を明確にし、地域との関係を大切にして行きたいと思います。また、自然豊かな環境のもと子どもたちが、安心・安全に過ごせる園を念頭におき、必要とされる園を目指していきたいと思います。
 評価にあたって、励みとなる言葉や、様々な尽力を頂きましたことを心から感謝申し上げます。
■第三者評価結果
 
  別紙の「第三者評価結果」に記載している事項について公表する。