とちぎ福祉サービス第三者評価推進機構

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福祉サービス第三者評価結果


■第三者評価機関名
株式会社 アールピーアイ栃木
■施設・事業所情報
名称 こどもの森保育園 種別 保育所
代表者氏名 笹沼 陽平 定員(利用人数) 50人(43)
所在地 〒329-1576
栃木県矢板市石関1204-1
TEL 0287-48-1934
■第三者評価の受審状況
評価実施期間 令和5年4月20日(契約日)~ 令和5年10月31日(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1回 (今回が初回)
■総評
◇特に評価の高い点
1.山裾の南斜面にあり豊かな自然環境に包まれ、広々とした園舎で伸び伸びとした保育活動が行われています。
本園は矢板市の西に広がる山地の山裾にあり、南斜面の広々とした敷地に木造の園舎が立っています。園の敷地と森林のはっきりした境はなく、豊かな自然環境に包まれ、森の中に佇む保育園といった雰囲気を持っています。
園庭、園舎は南斜面の高台にあり、毎日の登園は斜面の階段を登りきらなければならず、自ずと丈夫な身体づくりが行われています。園舎は木の質感を十分に生かした純木造の建物で、南側はすべて幅3mを超える木造のテラスになっており、各保育室、ホール、職員室を結んでいます。
訪問調査の日、朝の登園時に園庭にそびえる高木をお父さんが蹴飛ばし、子どもが落ちてきたクワガタをいとも簡単に掴んで見せてくれました。またその日は天気もよく、園庭を、またテラスを走り回る元気な子どもたちの姿を見ることができました。広々とした園舎で、自然と触れ合いながら伸び伸びと成長する子どもたちを見守る保育が実践されています。

2.子どもの可能性を引き出し、育てる、一人ひとりにスポットを当てた取組が行われています。
これまで本園が行ってきた特徴的な取組に「卒園アルバム」があります。園で過ごした生活が写真でたどることができます。どの写真を見ても、そのお子さん本人が写っています。また、その子どもにあてた保護者の思いがつまったお手紙も添えられています。卒園するすべてのお子さんに、一人ひとりが中心の写真やお手紙で構成された「世界に一つの卒園アルバム」となっているのです。
また、運動会で保護者に配られるプログラムは1枚程度が多いと思われる中、本園のプログラムは園児全員の一人ひとりの顔写真と保護者からのメッセージが入った60頁にも及ぶ冊子となっています。一人ひとり演技する際に、その子どもの保護者からのメッセージが紹介され、さらには会場にいる全員から「○○ちゃん、がんばれー」といった応援が寄せられます。保護者も含めた参加者全員でその子の取組を応援しているのです。
このように、子ども一人ひとりにスポットを当て、保護者等を巻き込んで可能性を引き出す取組が、様々な機会を通じて行われています。

3.改善に向けた取組が行われています。
これまでの取組を振り返り、反省し、新たな取組を行うべく、改善対策を立て、様々な改善に向けた取組が進められています。「保育所保育指針の勉強会」や「外部の有識者による講習会」、「一週間の保育の振り返り会議」、「行動規範作成会議」、「保育者のための自己評価チェックリスト」、「一日の保育の振り返り・セルフチェック」、「保護者の方々へのアンケート」、「第三者評価の実施」など、年間計画として位置づけ、実行に移されています。また、「プール活動緊急対応マニュアル」は、今年度、看護師が中心になって作成されました。プール活動をより安全に行うため、予防と早期発見・対応、役割分担などが示され、必要な備品(園児を寝かせる「バスタオル」や周囲に知らせる「ブザー」、「ハンドマイク」など)を籠に入れ、プールセットとして持ち運ばれていました。このような職員からの気づきによる改善が行われてきており、さらなる改善への取組が期待されます。
◇改善を求められる点
1.新しい理念・基本方針の実現に向け、中長期ビジョン・年次計画づくり、それに基づく新生園づくりを早急に実行することが求められています。
令和5年3月に栃木県及び矢板市より施設運営の改善勧告を受け、現在園では、施設管理・運営、保育内容の全面的改善に取り組んでいるところです。まず本園の保育の基本となる理念・基本方針の見直しを行い、こども一人ひとりを尊重する保育の実践を全面に打ち出した新しい理念に、「豊かな自然環境の下、子どもたち一人ひとりが尊ばれ、全ての利用者の方々が安心して利用できる運営をする」、また新しい基本方針に、「子どもたち一人ひとりの個性や人権が尊重され、自由にのびのびと自己表現や生活ができる保育を行う」と掲げました。今後、この新しい理念、基本方針のもとに、具体的に保育を実践していかなければなりません。
しかしその理念、基本方針を実践する中長期ビジョン、年次計画がないのが現状です。これまでもそのようなビジョン、計画がないままに園が運営されてきたことが伺え、今回の改善勧告を機に、中長期ビジョン、年次計画のもとに、新しく生まれ変わる園づくりが求められています。
保育園を取り巻く経営環境は、進む少子化の影響により厳しさを増していると言わざるを得ません。さらに今回の改善勧告は大きな打撃になることは確かであり、ビジョン・年次計画のもとに、早急に経営改善対策の実行が求められています。

2.一人ひとりの個性を大切にする、新しい理念に基づく保育の実践が求められます。
新しい本園の理念が策定され、子どもの人権尊重などについて学習していますが、まだ、従来の保育の延長線上にあり、新しい理念に基づく保育の実践にはつながっていない面も見受けられます。
本園で行われている様々な活動・行動について、それは子どもの利益を最大にするものであるか、子どもの人権を尊重するものであるかなど、一つひとつ確認していくことが必要であると思われます。職員にとって便利であるといった観点で活動がなされていないかにも留意し、見直し・改善に取組んでいくことが求められます。

3.業務の文書化と文書管理の徹底が必要です。
本園はマニュアル類の整備が十分ではない状況が見受けられます。これまでは保育士等の個人が持つ経験や能力により、熱心な保育が行われてきたものと考えられます。文書管理においても、職員の作業を優先し、適正な管理がなされていない状況が見受けられます。
個人情報保護やアレルギー、配慮が必要な子どもなど、子どもを取り巻く環境は変化しており、誰もが適切な保育等を行い、職員間で必要な情報を共有できるよう、標準的な取組の明確化、記録の作成、報告と確認など、組織全体として、業務の文書化と文書管理の徹底に取組んでいくことが求められています。
■第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
今回、第三者評価を受けさせていただき、自分たちだけでは気づけない部分をご提示いただき、良い機会であったと感じております。今後は今回の調査の結果を参考にさせていただき、より良い施設運営に励んでゆく所存です。
■第三者評価結果
 
  別紙の「第三者評価結果」に記載している事項について公表する。